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契約書のツボ(4)  秘密保持契約書    by あどみん編集部

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 「秘密保持契約書」
とは、秘密(=機密)情報を開示するときに締結する契約書です。ビジネスの世界ではお馴染みの契約書で、NDA(Non Disclosure Agreement)といったほうが分かり易いかも知れません。
 今日のように企業間競争が激化している時代には、秘密情報の漏洩にはより敏感になる必要があります。自社のノウハウ等が第三者に漏れたりすると、企業の存続にかかわる事態を招きかねません。
 契約書を作成したり、内容を審査したりする際の重要なポイントとしては、以下のものがあります。
Point 1 目的は明確ですか?
  • 相手側に(から)秘密情報を一方的に開示する(開示される)場合と、共同開発のような相互に秘密情報を開示するケースでは契約内容も異なってきますので、まず秘密保持契約を結ぶ目的を明確にしておかなければいけません。
Point 2 秘密情報の範囲は具体的ですか?
  • 秘密保持契約でもっとも問題になるのは、秘密情報の範囲の定義です。より具体的に定義しておきましょう。
  • とくに開示を受ける側にとっては、秘密情報の範囲が広すぎると今後のビジネスに大きな影響を及ぼしかねない問題となります(日本企業では秘密保持契約の内容を吟味せずに、大したことないやとホイホイ締結してしまう傾向があるようです)。気を付けましょう。
Point 3 秘密情報を開示できる人の範囲は?
  • 単に「第三者には秘密情報を開示しない」といった程度にとどめるのか、「指定した者以外には秘密情報を取り扱わせてはならない」と厳しくするのか、検討しましょう。
  • 開示側としては、「従業員と別途秘密保持契約を締結するなどして、必要な措置をとるものとする」と一言付け加えておきましょう。
Point 4 下請けについて
  • 特定業務について一切下請けを禁止するのか、一定の秘密保持の措置をとらせることを条件に下請けを認めるのか、検討しましょう。下請業者から秘密情報が漏れた事例は結構あるんですよ。
Point 5 管理方法についても規定しましょう
  • 施錠できる場所に保管する、担当者以外が立ち入ることのできない場所に保管する等、具体的に規定しておきましょう。
Point 6 無断複製禁止、返却義務等
  • 無断複製・廃棄を禁止することはもちろん、当該業務以外の目的に使用してはならない旨規定すべきです。承諾を受けて複製した場合、複製物は当該機密資料と同等に取り扱うよう明記しておきましょう。
  • 当該業務が終了した場合は、機密資料を返却する(または廃棄する)旨規定しておきましょう。
Point 7 適用除外事項について規定していますか?
  • 「すでに入手している情報」「公開されている情報」「周知の情報」等は適用除外とする旨の規定を設けることは、被開示者にとっては非常に重要です。
Point 8 秘密保持の期間は合理的に定めておきましょう
  • 秘密情報は一般に、時間の経過とともに陳腐化するものです。秘密保持期間は合理的な範囲内に止めておきましょう。
Point 9 裁判所の合意管轄の特約はありますか?
  • 相手方の住所地を管轄する裁判所へ訴えるのは多額のコストがかかります。できれば自社の本社所在地を管轄する裁判所に特約しておいたほうがベターです。
Point 10 残存条項はありますか?
  • 契約期間満了後も一定期間秘密保持義務を負わせる等の残存条項に関する特例も必要です。
Point 11 契約書の形式は?
  • 一般的な契約書は、
    (1) 表題 売買契約書、業務委託契約書、等々・・・・
    (2) 前文 株式会社○×(以下「甲」という。)および株式会社△□(以下「乙」
    という。)は・・・・
    (3) 本文 第1条、第2条、第3条・・・・
    (4) 末文 本契約締結の証として甲乙記名押印の上各自1通を保有する、等
    (5) 作成年月日 契約締結日を記載します(忘れずに!!)。
    (6) 当事者の住所
      社名(商号)
      代表資格+代表者氏名
      +押印
    社名や代表資格(代表取締役)が抜けていると、対会社の契約なのか、対個人の契約なのか分からなくなってしまいます。
    また、商業登記簿で代表権者をあらかじめ確認しておきましょう。
    できれば署名押印、駄目でも記名押印が必要です。なお、取引相手によっては実印+印鑑証明での契約締結も検討しましょう。
    の順で構成されます。
  • 誰が読んでも同じ解釈ができるように書かれていますか。小説ではありませんので、行間を読ませる(読まれる)ような書き方はいけません。契約書は後日、裁判上重要な証拠となりうるものであることを肝に銘じましょう
    内容に矛盾がないのであれば、同じような内容を繰り返し書いても、マイナスにはなりません。
  • 多少クドくても「甲は乙に対し…」のように主客を明確にしたほうがベターです。契約書はあくまでも、お互いの権利・義務を明確にするためのものだからです。
  • 「甲」「乙」で記述すると、途中で甲乙が逆になってしまうことがあります。よくあることですので、気を付けましょう。最近は「甲」「乙」ではなく、「売主」「買主」とか「○○社」「△△社」のように記述している契約書も少なくありません。
  • 契約締結日は正確に記載されていますか(しっかりとした契約書であるにもかかわらず、契約締結日や本文中の締め支払の日がブランクになっているケースが結構見受けられます)。日付が虚偽であると文書全体の信頼性を損なってしまう可能性があるので、要注意です。
Point 12 最後に「法律用語を間違って使ってませんか?」
  • 「および」と「ならびに」、「または」と「もしくは」等々…、法律用語を間違って使っていると結構恥ずかしいですよ。自信の無い方は「法律用語のキソ」を参考にしてください。
  • 第3条が2つあったり、第4条がなかったり・・・条文の番号を正確に付けていますか。
    項番号が(1),(2),...だったのが、途中でマル1,マル2,...になっていたり・・・。
  • 誤字脱字にも気を付けてください。契約書は後日、裁判上の重要な証拠書類となるものです。
以 上
「営業活動の法律シリーズ@ 契約の知識」神部正孝著(商亊法務研究会)
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「知的財産・著作権のライセンス契約入門」山本孝夫著(三省堂)
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※「あどみん関連書籍のススメ」もぜひご覧ください。


ポイント1
 契約交渉では、とにかく
「主導権を握る」ことが重要です。
 「契約書まで用意してきてくれて、手間がはぶけてラッキー!」なぁんて感謝しちゃいけません。
相手方が契約書を用意してきたら「当社に不利な内容の特約があるのでは?」と疑ってみる必要があります。
 内容を検討のうえ、契約書の対案を提示する(内容の修正したり、別途覚書を締結する)くらいの慎重な姿勢でないといけません。

ポイント2
 契約は、基本的に
「申込み」と「承諾」とが合致して成立します。
 双方の意思の合致さえあれば、
口頭であっても契約は成立します(ただし契約内容が明確でない、証拠が残らないといった問題は残りますが...)。
 
注文書と注文請書は1セットで契約書といえるものですから、注文する場合は、必ず注文請書を受領しましょう。

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