「業務提携契約書」とは、会社同士がお互いに得意な分野で提携したり、業務の一部を外部に委託するときに締結する契約書です。民法上の売買・請負・委任などの性格をあわせ持つ、継続的契約といえます。
法的な拘束力を持たない(歯の浮くような!?)精神的規定を設けたものも見受けられますが、お互いの信頼関係がベースとなっている業務提携契約ならではの条項といえるでしょう。
契約書を作成したり、内容を審査したりする際の重要なポイントとしては、以下のものがあります。
なお、業務提携契約の中には、内容的には殆ど「取引基本契約」というものもありますので、「取引基本契約」も併せてご覧ください。
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Point 1 |
提携する業務の内容は明確ですか? |
- 提携する業務の内容は何か、どの範囲までかを明確にする必要があります。
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Point 2 |
報酬の支払いについての取り決めはありますか? |
- 報酬の定め方には、一定の金額を定める方法や、出来高・販売量に応じて算出する方法などがあります。この場合、算定する計算基準も明確にしておく必要があります。
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Point 3 |
秘密保持に関する条項はありますか? |
- 今日のように企業間競争が激化している時代には、秘密の漏洩に注意する必要があります。ノウハウ等が第三者に漏れたりすると、企業の存続にかかわる事態を招きかねません。
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Point 4 |
信用状態が悪化した場合に出荷制限できますか? |
- 提携先の信用状態が悪化し、契約を解除しないで出荷の制限や停止をすると、契約違反となって損害賠償の対象になりかねませんので、この条項はぜひ入れておくべきです。
信用状態の悪化や市場の景況等々より抽象的に(幅広く)条件を定めておいたほうがいいですね。
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Point 5 |
契約期間を定めていますか? |
- 1,2年の契約期間で自動更新付き(双方が異議を申し立てなければ契約期間は自動的に延長される)、というのが一般的です。
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Point 6 |
契約期間途中の解約(解除)方法も規定していますか? |
- 両者の信頼関係に基づく契約ですから、信頼関係を破壊するようなことがあった場合、契約期間中であっても解約(解除)をできるようにしておきましょう。
- 業務提携契約では、相手方の経済的な信用が失われた場合はもちろんのこと、相手の販売実績等が当初の期待に達しなかった場合や、提携先を介さずに直接販売に切り替えることが容易にできるよう、解約条件は柔軟に定めておく必要があります。
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Point 7 |
独占禁止法との関連にも注意しましょう |
- 提携先に不当な取引制限を課した場合、独占禁止法の不公正取引として排除・差止め等の処分対象となってしまう可能性がありますので、注意しましょう。
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Point 8 |
裁判所の合意管轄の特約はありますか? |
- 相手方の住所地を管轄する裁判所へ訴えるのは多額のコストがかかります。できれば自社の本社所在地を管轄する裁判所に特約しておいたほうがベターです。
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Point 9 |
残存条項はありますか? |
- 契約期間満了後も一定期間秘密保持義務を負わせる等の「残存条項」に関する特例も必要です。
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Point 10 |
別紙とか、別途とか−引用の問題 |
- 基本契約では「具体的事項については別紙に定めるものとする」とか「別途甲乙協議の上合意書において定めるものとする」というフレーズがよく飛び交いますが、別紙や合意書はほんとうに存在しますか?(結構無かったりするんですね...)
存在していたとしても、参照している書面がたくさんあると、どれが引用している書面か分からなくなってしまうことが多々あります。管理はしっかりしましょう。
- また、あまり「別途個別契約に定めるものとする」を連発しすぎると、基本契約が骨抜きになってしまう可能性があるので気を付けましょう。
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Point 11 |
契約書の形式は? |
- 一般的な契約書は、
(1) 表題 |
売買契約書、業務委託契約書、等々・・・・ |
(2) 前文 |
株式会社○×(以下「甲」という。)および株式会社△□(以下「乙」
という。)は・・・・ |
(3) 本文 |
第1条、第2条、第3条・・・・ |
(4) 末文 |
本契約締結の証として甲乙記名押印の上各自1通を保有する、等 |
(5) 作成年月日 |
契約締結日を記載します(忘れずに!!)。 |
(6) 当事者の住所
社名(商号)
代表資格+代表者氏名
+押印 |
社名や代表資格(代表取締役)が抜けていると、対会社の契約なのか、対個人の契約なのか分からなくなってしまいます。
また、商業登記簿で代表権者をあらかじめ確認しておきましょう。
できれば署名押印、駄目でも記名押印が必要です。なお、取引相手によっては実印+印鑑証明での契約締結も検討しましょう。 |
の順で構成されます。
- 誰が読んでも同じ解釈ができるように書かれていますか。小説ではありませんので、行間を読ませる(読まれる)ような書き方はいけません。契約書は後日、裁判上重要な証拠となりうるものであることを肝に銘じましょう。
内容に矛盾がないのであれば、同じような内容を繰り返し書いても、マイナスにはなりません。
- 多少クドくても「甲は乙に対し…」のように主客を明確にしたほうがベターです。契約書はあくまでも、お互いの権利・義務を明確にするためのものだからです。
- 「甲」「乙」で記述すると、途中で甲乙が逆になってしまうことがあります。よくあることですので、気を付けましょう。最近は「甲」「乙」ではなく、「売主」「買主」とか「○○社」「△△社」のように記述している契約書も少なくありません。
- 契約締結日は正確に記載されていますか(しっかりとした契約書であるにもかかわらず、契約締結日や本文中の締め支払の日がブランクになっているケースが結構見受けられます)。日付が虚偽であると文書全体の信頼性を損なってしまう可能性があるので、要注意です。
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Point 12 |
最後に「法律用語を間違って使ってませんか?」 |
- 「および」と「ならびに」、「または」と「もしくは」等々…、法律用語を間違って使っていると結構恥ずかしいですよ。自信の無い方は「法律用語のキソ」を参考にしてください。
- 第3条が2つあったり、第4条がなかったり・・・条文の番号を正確に付けていますか。
項番号が(1),(2),...だったのが、途中でマル1,マル2,...になっていたり・・・。
- 誤字脱字にも気を付けてください。契約書は後日、裁判上の重要な証拠書類となるものです。
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以 上 |