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契約書のツボ(1)  取引基本契約書    by あどみん編集部

取引基本契約
商品売買契約
システム開発契約
秘密保持契約
業務提携契約
代理店契約
ソフトウェア使用許諾契約

 「取引基本契約書」
とは、「これから長きにわたって取引きをしていきましょう」という内容の契約書、つまり継続的な商品売買契約書です。
 法的な拘束力を持たない(歯の浮くような!?)精神的規定を設けたものも見受けられますが、お互いの信頼関係がベースとなっている継続的取引基本契約ならではの条項といえるでしょう。
 契約書を作成したり、内容を審査したりする際の重要なポイントとしては、以下のものがあります。
Point 1 基本契約と個別契約との関係は明確ですか?
  • 個別契約で基本契約と異なる合意をした場合どちらの合意が優先するのか、注意しましょう。
  • 基本契約の特例として個別契約の内容が優先すると規定しているものが大半ですが、ときどき基本契約を優先するとした契約書も見受けられます。基本契約の中に自社に極端に有利な条件を規定しておき、今後の取引すべてをその条件で縛っていこうという趣旨ですので、相手側提示の契約書で締結する際には気を付けましょう。
  • 基本契約を締結した場合、あらためて個別契約を作ることなく、簡便な「注文書」と「注文請書」の形で取引きをすることがほとんどです(これが基本契約を締結する最大のメリットですから...)。この場合、必要な事項は基本契約の中にしっかりと規定しておかないと、後々トラブルになりなねません。
    基本
    契約
    すべての取引に関係する基本的な事項を規定支払条件、危険負担、秘密保持、契約解除条項、等々契約締結は1度だけ(ほとんどは自動更新規定付き)
    個別
    契約
    個別の取引にのみ適用される特殊な事項を規定商品の価格、数量、納入期日、納入場所、等々簡便な注文書&注文請書で代用される
Point 2 代金の支払条件は明確ですか?
  • 「現金払い」「銀行振込(納入後何日以内?)」「手形払い(サイトは何日?)」・・・これから長きにわたって取引きをしていきましょう、という内容の契約書ですから、代金の支払条件ぐらいは基本契約に定めておかなくてはいけません
  • 「基本契約に支払条件がすでに規定されているだろう」と思いこんで、支払条件が曖昧なまま注文書&注文請書で取引をしてしまうケースが結構あります(個別の取引の際にいちいち基本契約を引っ張り出してくる人なんていませんし、注文書&注文請書にいちいち取引条件を規定する人もいません)。売主は気を付ける必要があります。
Point 3 秘密保持に関する条項はありますか?
  • 今日のように企業間競争が激化している時代には、秘密の漏洩に注意する必要があります。ノウハウ等が第三者に漏れたりすると、企業の存続にかかわる事態を招きかねません(商品の売買だけだから関係ないって? でも仕切条件とかオプションとか、他社には知られたくない情報がいろいろとありますよ...)。
Point 4 検査(検収)期間は確定期間になってますか?
  • 買主がダラダラして検査期間が不当に引きのばされた場合(お金を払いたくないため意図的に先延ばししているのでしょうが...)、代金の回収が遅れるなど不測の損害をこうむる可能性があります。
    「商品引渡しの後○×日以内に検査を行う」と定めておき、「この期間内に検査結果の報告がなければ、検査に合格したものとみなす」というような特約が必要です。
  • 逆に買主は、検査遅延によって売主に生じた損害について賠償の責めを負うなどのリスクを負担することになるので、「実施可能」な合理的な期間を設定する必要があります。
Point 5 「不可抗力免責に関する特約は?」
  • 法律上、納期が遅れたときの責任を問われるのは売主に過失のある場合に限定されます。でも念のため、天災地変などの不可抗力(より具体的に規定したほうがいいでしょう)によって納期を守ることができなくなった場合は、相当期間納期を延長できる旨の特約をしておいたほうがいいです。
Point 6 危険負担に関する条項は?
  • 不可抗力の場合でも、危険はどっちかが負担しなければいけません。売主としては、引渡しをもって危険負担を買主に移転させる旨の特約をしておいたほうがいいでしょう。
Point 7 瑕疵担保責任に関する特約はありますか?
  • 瑕疵担保責任は無過失責任なので、極力保証期間の短縮化をはかるべきです。売主としては、瑕疵担保期間満了後は有償のサポートサービスなどに切り替えたほうがいいでしょう。
Point 8 所有権留保特約は付いている?
  • 債権保全の観点から「商品の所有権は、売主が商品代金の完済を受けたときに買主に移転する」旨の特約が必要です。これによって、買主倒産にともなう損害を最小限に食い止めることが可能となります。
Point 9 損害賠償の限度額は設定されていますか?
  • 取引の対象がソフトウェア等の場合、製品の特殊性から損害が莫大なものになる危険性があります。売主としては、「契約金額をもって賠償限度額とする」という特約をしておいたほうがいいでしょう。
Point 10 信用状態が悪化した場合に出荷制限できますか?
  • 買主の信用状態が悪化し、契約を解除しないで出荷の制限や停止をすると、契約違反となって損害賠償の対象になりかねませんので、この条項はぜひ入れておくべきです。
    売主としては、信用状態の悪化や市場の景況等々より抽象的に(幅広く)条件を定めておいたほうがいいですね。
Point 11 契約期間を定めていますか?
  • 基本契約では、1,2年の契約期間で自動更新付き(双方が異議を申し立てなければ契約期間は自動的に延長される)、というのが一般的です。
Point 12 契約期間途中の解約(解除)方法も規定していますか?
  • 両者の信頼関係に基づく契約ですから、信頼関係を破壊するようなことがあった場合、契約期間中であっても解約(解除)をできるようにしておきましょう。
  • 相手の契約違反がはなはだしく、たとえ催告しても約束どおりに実行する可能性がほとんどない場合、催告しなければ契約を解除できないのであれば、解除時期を失するという実際上の不利益が大きくなるので、無催告解除の特約を設けるべきです。
Point 13 期限の利益喪失条項はありますか?
  • 相手方が契約違反したり、不渡処分をうけたり、信用状態がきわめて悪化したときは、残金全額を「すぐに」支払ってもらわなければなりません。売主にとって、期限の利益喪失条項は必須です。
Point 14 契約変更条項は同意・協議が条件?
  • 一方的に相手方にのみ契約変更権を認めることは、極力避けるべきです(相手方提示の契約書では、時々こういった小細工がしてありますので注意)。同意もしくは協議を条件とするべきです。
Point 15 商品価格の変更を請求できる特約はありますか?
  • 基本契約は長期にわたる契約ですので、その間に材料の値上がりや物価の変動等によって、当初の卸価格が不適当になる場合があります。
    「物価の変動等により、商品価格が不適当であると認められるときは、双方協議のうえ商品価格を変更できる」旨規定しておいたほうがいいでしょう。
Point 16 担保提供や連帯保証人の条項も、相手によっては必要です
  • 取引相手によりますが、担保提供や連帯保証人の条項も検討しましょう(相手が大手の優良企業なら、かならず削除を要求されるでしょうが...)。
Point 17 裁判所の合意管轄の特約はありますか?
  • 相手方の住所地を管轄する裁判所へ訴えるのは多額のコストがかかります。できれば自社の本社所在地を管轄する裁判所に特約しておいたほうがベターです。
Point 18 残存条項はありますか?
  • 契約期間満了後も一定期間秘密保持義務を負わせる等の「残存条項」に関する特例も必要です。
Point 19 別紙とか、別途とか−引用の問題
  • 基本契約では「具体的事項については別紙に定めるものとする」とか「別途甲乙協議の上合意書において定めるものとする」というフレーズがよく飛び交いますが、別紙や合意書はほんとうに存在しますか?(結構無かったりするんですね...)
    存在していたとしても、参照している書面がたくさんあると、どれが引用している書面か分からなくなってしまうことが多々あります。管理はしっかりしましょう。
  • また、あまり「別途個別契約に定めるものとする」を連発しすぎると、基本契約が骨抜きになってしまう可能性があるので気を付けましょう。
Point 20 契約書の形式は?
  • 一般的な契約書は、
    (1) 表題 売買契約書、業務委託契約書、等々・・・・
    (2) 前文 株式会社○×(以下「甲」という。)および株式会社△□(以下「乙」
    という。)は・・・・
    (3) 本文 第1条、第2条、第3条・・・・
    (4) 末文 本契約締結の証として甲乙記名押印の上各自1通を保有する、等
    (5) 作成年月日 契約締結日を記載します(忘れずに!!)。
    (6) 当事者の住所
      社名(商号)
      代表資格+代表者氏名
      +押印
    社名や代表資格(代表取締役)が抜けていると、対会社の契約なのか、対個人の契約なのか分からなくなってしまいます。
    また、商業登記簿で代表権者をあらかじめ確認しておきましょう。
    できれば署名押印、駄目でも記名押印が必要です。なお、取引相手によっては実印+印鑑証明での契約締結も検討しましょう。
    の順で構成されます。
  • 誰が読んでも同じ解釈ができるように書かれていますか。小説ではありませんので、行間を読ませる(読まれる)ような書き方はいけません。契約書は後日、裁判上重要な証拠となりうるものであることを肝に銘じましょう
    内容に矛盾がないのであれば、同じような内容を繰り返し書いても、マイナスにはなりません。
  • 多少クドくても「甲は乙に対し…」のように主客を明確にしたほうがベターです。契約書はあくまでも、お互いの権利・義務を明確にするためのものだからです。
  • 「甲」「乙」で記述すると、途中で甲乙が逆になってしまうことがあります。よくあることですので、気を付けましょう。最近は「甲」「乙」ではなく、「売主」「買主」とか「○○社」「△△社」のように記述している契約書も少なくありません。
  • 契約締結日は正確に記載されていますか(しっかりとした契約書であるにもかかわらず、契約締結日や本文中の締め支払の日がブランクになっているケースが結構見受けられます)。日付が虚偽であると文書全体の信頼性を損なってしまう可能性があるので、要注意です。
Point 21 最後に「法律用語を間違って使ってませんか?」
  • 「および」と「ならびに」、「または」と「もしくは」等々…、法律用語を間違って使っていると結構恥ずかしいですよ。自信の無い方は「法律用語のキソ」を参考にしてください。
  • 第3条が2つあったり、第4条がなかったり・・・条文の番号を正確に付けていますか。
    項番号が(1),(2),...だったのが、途中でマル1,マル2,...になっていたり・・・。
  • 誤字脱字にも気を付けてください。契約書は後日、裁判上の重要な証拠書類となるものです。
以 上
「営業活動の法律シリーズ@ 契約の知識」神部正孝著(商亊法務研究会) cover

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ポイント1
 契約交渉では、とにかく
「主導権を握る」ことが重要です。
 「契約書まで用意してきてくれて、手間がはぶけてラッキー!」なぁんて感謝しちゃいけません。
相手方が契約書を用意してきたら「当社に不利な内容の特約があるのでは?」と疑ってみる必要があります。
 内容を検討のうえ、契約書の対案を提示する(内容の修正したり、別途覚書を締結する)くらいの慎重な姿勢でないといけません。

ポイント2
 契約は、基本的に
「申込み」と「承諾」とが合致して成立します。
 双方の意思の合致さえあれば、
口頭であっても契約は成立します(ただし契約内容が明確でない、証拠が残らないといった問題は残りますが...)。
 
注文書と注文請書は1セットで契約書といえるものですから、注文する場合は、必ず注文請書を受領しましょう。

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